やまよつ庵(古民家の再生)
平成21年度 建築作品 佳作受賞作品
大町市

家族を守って270有余年、よみがえって100.150年」

大町市稲尾の集落は茅葺屋根(鉄板葺も含め)の民家が点在し、ノスタルジックな景観と独特の雰囲気のあるエリアです。その中に、推定270年ほど前に建てたであろう、Kさんの民家が残っていました。
雨漏りが進み建て替えるのに現代風住宅にとも考えられましたが、周りの環境と後世に残したい思いが重なり「やまよつ庵」としてよみがえりました。古材以外は施主の山から切り出した杉やサワラを使い、愛着のある県産材住宅ともなっています。

(信州ふるさとの住まい助成金住宅)

取り壊し前の写真です。

再生後の写真です。
屋根は茅葺からフッ素鋼板に変わりましたが、屋根にムクリを付け、茅葺屋根の品格を出しています。

北側から見た外観です。
ポーチ柱に欠き込みを入れ、雪囲い用の板を入れられる用に細工してあります。

玄関正面を見ています。
ポーチの桁材は施主の山から切り出した10mの1本取りの杉材が使われています。
2階窓には格子が取り付けられ、アクセントを作っています。

玄関から囲炉裏の間を見ています。
踏石は解体時に出てきた石を利用しています。

囲炉裏の間の空間です。
炉縁も既存の物を利用しています。
囲炉裏は芯から粘土で固めて、作られた物です。
(中山工務店の社長さんが2ヶ月以上かけて製作)

囲炉裏の間を見上げた吹き抜け部分。
梁がダイナミックな空間を作り上げています。

囲炉裏の間を2階から見下ろして見ています。
梁、柱は古材を再利用している為、歴史を感じる仕上がりとなりました。

2間続きの下座敷側の和室です。
竪額入り障子や帯戸は既存の建具をそのまま利用しています。

台所です。
多目的に使える用にアイランド型のシステムキッチンとしています。

洗面所です。
壁は施主の山から切り出したサワラ板を使用しています。
洗面カウンターも無垢の板材を使っています。

2階部分です。
屋根勾配天井としている為、ロフトを作るスペースが生まれました。

窓の障子を開けると、囲炉裏の間へと繋がります。

古材の梁が空間を占める役割を果たしています。

段上になっている部分から、吹き抜かれた囲炉裏の間へと出入りが可能となっています。


工事概要

用 途    住宅
構 造    木造2階建て
建築面積  168.99u
延べ面積  172.47u
屋 根    長尺フッ素鋼板 一文字葺 峰部分長尺フッ素鋼板竪平葺
外 壁    モルタル刷毛引 しっくい塗
        

完成日 平成19年11月

施工 (有)中山工務店

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