「お囲蔵」の再生
福源酒造株式会社事務所 第28回 建築士事務所 全国大会 優秀賞受賞作品
池田町
天保11年(1840年)に殻類を貯えて置く郷蔵(お囲蔵)が池田町内に建設され、明治中期以降に競売により花見地区の和沢さんの住宅として活用されていた。
南側の外観。

解体工事
骨組みはすべて活用できるように解体。

4間にもおよぶ梁は、歴史の厚みとともに重厚さを増している。

新しく生まれ変わった「お囲蔵」
間口15間、奥行4間の建物であった部分に1.5間の回廊を新たに増設。

周辺にはいくつもの土蔵(白壁)が点在しており、対比を考え外壁はベンガラの赤壁としている。

回廊部分の列柱は建物をリズミカルに見せてくれる。

奥に見えるのが工場と酒蔵。
右側の酒蔵は昔、製糸産業の栄んな頃、まゆ蔵として使われていたもの。

夜になると列柱にしこまれた間接照明が幻想的な世界を作り出してくれる。

回廊
新たに増設された回廊は、外部と内部の中間的な役目をしてくれる。(壁は外部と同じベンガラ、床は黒御影石の上にカーペットが敷いてある)

多目的ホール「蔵の間」
既存の柱・梁など、ダイナミックな空間と歴史を肌で感じとることができる。
奥に食堂・休憩室と空間が繋がり、用途によって巾の広い使い方が可能となっている。

事務室
受付コーナーの飾り棚は大黒柱(既存の柱)がからみ、間接照明により深みを出している。

事務室
歴史のある建物なので、今までの木製家具を使用。落ち着きのある空間となっている。
天井は一部にアクリル板を入れ、力強い小屋組が見える仕掛をしている。

応接室
壁は和紙調クロスのベンガラ色により、落ち着いた温かみのある室となっている。

休憩室
従業員や杜氏さん達のコミュニケーションの場として、又、多目的ホールの使用方法でこの室までが開放される。中央にイロリを切り、ノスタルジックな演出をしている。

H15年10月この会場でクラフト展が企画され、県外からも大勢の方が訪れた。
中庭に展示されたスポーツカーが不思議と建物と調和。

多目的ホール「蔵の間」でジャズコンサートが開催された。歴史ある蔵の独特な雰囲気の中で音の響きも良く、素晴らしいコンサートになった。

2階3つの和室も2期工事でようやく完成した。
21帖の大広間は障子を開けると多目的ホール蔵の間へとつながり、活用の巾を広げている。

タイプの違う6帖の和室は当時の古材が表面に現れ、それぞれに落ち着きと気品を漂わせてくれる。


工事概要

用 途    事務所
構 造    木造2階建て
建築面積  349.39u
延べ面積  425.13u
屋 根    日本瓦一部銅板一文字葺
外 壁    ジュラク塗 腰壁:なまこ壁一部スクラッチタイル貼
基 礎    御影石貼

完成日    平成14年5月
2階部分   平成16年9月

施工 竃口工務店


お囲蔵の説明 → 設計にあたり


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